◆白川郷 春
道の駅白川合掌造りミユージアムの動画です
合掌造りは、日本の伝統的な建築様式で、特に富山県と岐阜県の山間部に多く見られます。
その名前は、手を合わせるような形状の屋根から来ています。
実際に五箇山と白川村の合掌集落に行き、また合掌造りがまるごとわかるミュージアムにも行ってきました。
屋根がどうして合掌の形をしているのか、建物の中はどうなっているのか、世界遺産になっているのはなぜか、
知恵と技術がつまった先人の宝物をまとめてみました。
合掌ミュージアムでは、世界に誇る日本の知恵を確かめることができ、自由学習の一助になるかも。
合掌造りはどこにある?
合掌造りの建築が見られる地域は、主に岐阜県の白川村や富山県の五箇山地域です。
いずれも雪がよくふる豪雪地帯とよばれる地域です。
合掌造りとは・屋根に見る特徴
◆五箇山の合掌造り
合掌造りの最大の特徴である屋根は、手を合わせるような形状の屋根で、名称もそこから来ています。
合掌造りの屋根の特徴をいくつか挙げてみます。
雪深い山村の屋根の形状
◆白川村 豪雪の合掌造り
合掌造りの建築が見られる地域、特に岐阜県の白川村や富山県の五箇山地域は、日本でも最も雪が深い地域の一つです。
これらの地域は、冬季には大量の降雪があり、雪深はしばしば2メートルを超え、特に深い年には4メートル以上にもなることがあります。
このような厳しい冬の環境が、合掌造りの特徴的な形状を生み出す要因となりました
急勾配の屋根は雪が積もりにくく、また積もった雪が自然に落ちやすい形状となっています。
これにより、建物が雪の重みで崩れることを防ぎ、また雪かきの労力を軽減する効果があります。
合掌造りの屋根は、その名前が示す通り、手を合わせる(合掌する)形状をしています。
素材
屋根は主に茅(かや)で作られています。
茅は防火性に優れており、また、断熱性も高いため、冬は暖かく、夏は涼しい室内環境を保つことができます。
合掌造りの屋根の構造
◆合掌造りの屋根 内側をみあげる
合掌造りの屋根は、大きな梁と柱を使用して作られ、釘を一切使わずに組み立てられます。
これにより、建物全体が一体となり、地震に対する耐性が高まります。
メンテナンス
茅葺きの屋根は、一定の期間(約15-20年)ごとに新しい茅で葺き替える必要があります。
これは、地域社会全体で行われる大切な行事で、地域の絆を深める役割も果たしています。
このような特徴から、合掌造りはその地域の自然環境と密接に結びついた、独特で美しい建築様式と言えます。
合掌造りの特徴・五箇山/白川村
◆五箇山 合掌造りの集落
合掌造りの特徴ですが、富山県の五箇山も岐阜県の白川村も、建物の特徴としては同じです。
五箇山は、日本の富山県南砺市に位置する地域。
白川村は岐阜県の北部山間部で、いずれも山深い孤立した地域といえます。
合掌造りの特徴をまとめてみると、
地理的な孤立
その孤立した地理的な位置が、合掌造りの建築様式が生き残る要因となりました。
また、この地理的な孤立が、日本の大部分が近代化した後も、五箇山の生活様式と文化が長年にわたって非常に伝統的なものであり続ける理由でもあります。
歴史的な建物
五箇山や白川村の多くの家屋は300年以上の歴史を持っています。
特に、五箇山の相倉集落と菅沼集落には、それぞれの地域で特徴的な合掌造りの家々があり、これらは国の歴史的な場所として指定されています。
屋根の構造
合掌造りの家々は、その名前が示すように、屋根が「合掌」の形状をしています。
この屋根は約60度の傾斜があり、ほぼ等辺三角形を形成します。
この急な傾斜は、雪が屋根から容易に滑り落ちることを可能にします。
また、巨大な屋根は、底部が曲がった強固なオークの梁によって支えられています。
屋根は15から20年ごとに新たに茅で葺き直されます。
地域の生活
◆和紙作り
五箇山の経済は、江戸時代には和紙、養蚕、火薬の原料である硝石の生産に基づいていました。
また、荻町集落の住民は、限られた土地を使った稲作と焼畑農業も行っていました。
白川村の経済も同じように、和紙生産、養蚕、硝石生産、農業を営んできました。
これらの産業は、白川村の合掌造りの家々の設計にも影響を与えています。
例えば、家の上部は養蚕のためのスペースとして利用され、大量の蚕を飼育するための広い室内空間となっています。
また、家の下部は硝石の生産に使用されることもありました。
以上の特徴から、歴史的な価値がある地域で大切に保存されてきたわけですが、
その優れた建築様式などから世界遺産に認定されています。
ではなぜ世界遺産に認定されるに至ったのでしょう。
合掌造りの集落が世界遺産に登録された理由
◆白川郷
合掌造りの集落が世界遺産に登録された理由は、その独特な建築様式と、それが生み出された特定の地理的・文化的環境にあります。
具体的には以下のような理由があげられます。
独特な建築様式
合掌造りの建築様式は、その形状、構造、素材使用などにおいて独特であり、特にその大きな茅葺き屋根は、日本の伝統的な建築技術を象徴しています。
また、釘を一切使わずに組み立てられるという点も、その技術的な優れさを示しています。
地理的・文化的環境との関連性
合掌造りは、雪深い地域で生活するための工夫が凝らされており、その地域の自然環境と密接に結びついています。
また、合掌造りの家々は、その地域の生活様式や文化とも深く関連しており、例えば、家の上部を養蚕のためのスペースとして利用するなど、地域の産業とも連動しています。
歴史的価値
合掌造りの家々は、その多くが数百年の歴史を持っており、その間に変わらぬ形で生活が続けられてきたことが評価されました。
これは、特定の時代の生活様式を今に伝える貴重な資料となっています。
以上のような理由から、合掌造りの集落は、その独特な建築様式と、それが生み出された特定の地理的・文化的環境を体現するものとして、ユネスコの世界遺産に登録されました。
合掌造りを実際に見る
◆合掌造りの家の中
世界遺産の岐阜県白川村や富山県の五箇山には、実際に家屋の中に入ることができる建物があります。
生活様式がそのままに残され、形状も手に取るようにわかります。
また岐阜県の「合掌ミュージアム」を訪問してみるのもよい方法ですよ。
合掌ミュージアムには解説も詳しく、家屋の様子が全方向から観察できるようになっています。
合掌造りのことが知りたいと思ったら、ぜひ行ってみてください。
「合掌ミュージアム」は白川郷ICを降りてすぐの「道の駅白川郷」にあります。
道の駅 白川郷の合掌ミュージアムで実体験
◆道の駅白川郷 合掌ミュージアム
道の駅白川郷の駅舎内に「合掌ミュージアム」はあります。
ここでは合掌造りの家を造る方法や素材などが、本物の合掌造りの家を移築して解説されています。
合掌ミュージアム内(旧手塚家)
◆合掌ミュージアム入り口
展示してあるのは、旧手塚家を移築した建物です。
さっそく中に入ってみてみますね。
◆合掌造りの中、二階
合掌造りの特に屋根の内側と外側が見やすく展示されています。
建物の中に入って内側から天井を見上げると、そそり立つような角度の屋根であることが実感できます。
◆合掌造りの屋根内側
60度の勾配とは、こんなにも急なのです。
◆道の駅白川郷・合掌張りの方法
誰か作業をしていますね。
おっと実物大のお人形の大工さんでした。
合掌張りという作業をされているところでした。
合掌造りの作り方行程の解説も
◆合掌の仕組み
仕組みは、合掌材とウスバリが連携して合掌造りの民家の基本構造を形造っているという説明。
◆かやぶきの作業風景
◆かやぶきの作業風景
よく足がすべらないな、と感心するほどの急こう配の屋根です。
◆葺き材、結束材
◆床材
曲線の大木に組まれた太い床材、頑丈なつくりですね。
たんねんな作業風景と、ち密な家づくりがされています。
◆最初の共同作業石場カチ
合掌造りの家をたてる最初の共同作業が「石場カチ」と呼ばれる礎石を植え付ける作業。
昭和30年代までは 大勢で基礎となる石を打つためのやぐらを組んでいました。
合掌造りを誕生させるためには、最初から最後まで大勢の共同作業がなくてはできあがりません。
◆かやぶき屋根も間近に
音声のガイダンスもありますし、パネルや実物での解説もあり、合掌造りがどのようにできあがるのかを詳しく知ることができます。
そして目の前には実物が。
くぎを使わず建てられる合掌造りの家。
屋根の吹き替えは丸一日で
屋根のふきかえは丸一日で終了です。
むいたあと区画をわけて作業を繰り返し、途中雨や雪が降っても作業を中断できません。
むき出しになったまま放置するとその部分が腐ってしまうからだそう。
広い屋根を一日で葺きかえるには、「ユイ」の人々の協力があってこそ。
道の駅でもあるので、駐車場・入場料は無料です。
道の駅白川郷(合掌ミュージアム)営業時間
- 8:30~17:00(土産処・合掌ミュージアム)
- 9:30~16:00(食事処)
定休日:年末年始(12/29~1/3)
駐車場
<第一駐車場>
- 普通車46台
- 大型車4台
- 身障者3台
- 電気自動車(急速)1台
<第二駐車場>
- 普通車115台分
「道の駅白川郷」は世界遺産「白川郷」荻町集落のごく近くにある道の駅です。
アクセス方法
- 東海北陸自動車道五箇山ICから車で5分
合掌造り どこにある? 白川村と五箇山/特徴と歴史/造り方/体験クチコミ【動画あり】まとめ
ということで、実際見てみるとそのすごさがよくわかります。
合掌造りの家は雪深い山間部での建物の知恵がつまっています。
白川郷にも民俗資料館のような施設にこうした解説がありますが、このミュージアムはまさに目の前で作業が繰り広げられていますから、見ごたえ十分です。
五箇山の菅沼合掌集落を訪問してきました。お出かけの参考に。
岐阜県「白川郷合掌造り集落」も散策、とても広いです
※2020年8月3日(月)訪問・2023年11月16日追記更新
道の駅 白川郷 所在地:岐阜県大野郡白川村飯島411番地 下の行のワンクリックでコピーできます。
岐阜県大野郡白川村飯島411番地
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