◆越前市武生 大河ドラマ館
2024年のNHK大河ドラマ「光る君へ」の大河ドラマ館が、越前市武生にて開催されています。
福井県越前市は、紫式部が父の国司としての仕事に付き添った場所です。
紫式部が暮らした期間は短いものの、多感な時期で結婚を決める重要な時期でもあり、源氏物語の着想にも大きな関係がありそうです。
大河ドラマでは越前編は6月ごろに6週にわたり放送される予定ですが、ここを見逃しては、その後の物語につづけない重要な位置づけです。
越前武生の大河ドラマ館の開催内容や期間、時間、駐車場などの体験談をお話します。
また越前の紫式部ゆかりの地についても、ぜひ訪れてみたい所を選んでみました。
(光る君への大河ドラマ館は、紫式部のゆかりの地である、滋賀県の大津市、京都府の宇治市でも開催されています。三か所とも訪問しました。)
紫式部はなぜ父の赴任先に同行することになったのか
今から1000年あまり昔、平安時代の中期にあたる長徳2年(996年)の夏頃、
下流貴族であった父・藤原為時(ふじわらのためとき)とともに紫式部は京の都から越前へ向かいます。
為時が朝廷から越前守(えちぜんのかみ)に任命されたため、転勤先に一緒について行ったのです。
すでに母も姉も他界しており、女手が彼女以外いなかったため父の世話をするための同行だとされています。
紫式部は天禄元年(970年)頃の生まれと伝わりますが、当時20代半ばだったでしょう。
彼女をしきりに口説いていた藤原宣孝(ふじわらののぶたか)を都にのこしての旅だそうです。
越前国府(現・越前市)に向けて為時と紫式部の一行は琵琶湖を船で渡ります。
険しい峠を越え5日間ほどかけて赴任先に到着したと言われています。
紫式部が越前に暮らしたのは1年あまり、生涯で唯一都を離れた期間です。
光る君へ 越前武生の大河ドラマ館・開催内容
◆越前 大河ドラマ館 しきぶきぶんミュージアム
福井県越前市のしきぶきぶんミュージアムで開催されている大河ドラマ「光る君へ」展は、紫式部と『源氏物語』の魅力を存分に楽しむことができる展示会です。
衣装や小道具、紫式部の代筆道具などの展示が充実しており、4Kシアターではドラマの名場面や制作秘話を楽しめます。
越前の文化や歴史にも触れられるこの展示会は、歴史と文化に興味のある方にとって見逃せないスポットです。
展示内容を具体的にお話すると、
1. 紫式部の世界
◆越前 大河ドラマ館(貴族成人女性の儀式の裳着の衣装)
紫式部が『源氏物語』の中で描いた華やかな平安時代の衣装や小道具が展示されています。
特に、紫式部が裳着の儀式で着た衣装が近くで見られる展示は見どころです。
◆父為時の居室
紫式部の父、藤原為時の居室を模した展示があります。
実際に使われた書道具などが展示されており、彼の生活や仕事の様子を垣間見ることができます。
◆まひろが代筆した木簡
紫式部が代筆した恋文の木簡などが展示されており、彼女の手書きの筆跡を感じることができます。
まひろさんは左利きを半年かけて訓練し、書の練習をされたそうです。
ドラマ内ではほとんど自分で書かれているそうです。
◆光る君への大河ドラマの撮影秘話
2. 越前の文化と歴史
◆父為時の衣装
紫式部が暮らした越前の文化や歴史を紹介する展示も行われています。
◆大河ドラマ館館内の様子
越前和紙の歴史や紙漉きの技術など、地元の伝統工芸に触れることができます。
◆平安時代の貴族の衣装説明
3. お土産ショップ
◆越前武生 大河ドラマ館 お土産店
展示会限定のお土産やグッズが購入できるショップが併設されています。
『源氏物語』や紫式部に関連する商品が多数揃っています。
シアターの概要
◆4Kシアターによる映像展示
ドラマの名場面や制作秘話、脚本の大石静氏や主演の吉高由里子氏、岸谷五朗氏のインタビュー映像が上映されています。
4Kの高画質映像で、ドラマの臨場感を楽しむことができます。
◆テーマ
人の心は千年経っても変わらないというテーマが映像を通じて語られ、ドラマの深いメッセージを感じることができます。
光る君へ 越前武生の大河ドラマ館・期間時間場所
光る君へ 越前武生の大河ドラマ館の期間・時間・場所は以下の通りです。
- 越前武生大河ドラマ館・開催期間:2024年2月23日(金・祝)~12月30日(月)
- 時間:9:00~17:00(最終入場 16:30)
- 場所:しきぶきぶんミュージアム(福井県越前市高瀬二丁目27-7-1)
越前武生の大河ドラマ館・料金
- 大人: 600円
- 小・中学生: 200円
- 未就学児: 無料
アクセス方法と駐車場
- 電車: JR武生駅から徒歩約15分
- 車: 武生ICから約10分
- シャトルバス: JR武生駅から大河ドラマ館行きのシャトルバスが運行中(運賃500円)。
駐車場は会場付近に駐車場あります、駐車料金は無料。
紫式部公園と金色の紫式部像
◆紫式部公園 庭園と式部の像
金色に輝く大きな紫式部の立像がある「紫式部公園」。
この公園は、紫式部が越前国司に任ぜられた父と共に越前市を訪れました、時は長徳2年(996年)のこと。
都に暮らしていた女性が地方で暮らすことになったわけです。
そんな暮らしぶりの変更はほとんどなかった当時です。
北陸の冬を体験したり、敦賀の松原客館に滞在する宋人を通して先進的な大陸の文化に直接触れました。
このことは紫式部に大きな影響を与えたと考えられています。
そんな紫式部を偲んでこの紫式部公園は作られました。
公園は平安時代の貴族の住居(寝殿造)を模したもので、約3000坪という広大な敷地があります。
霊峰・日野山をはじめ、武生盆地を囲む山々を借景に、池や月山を配置したものです。
全国で唯一の寝殿造庭園として雅やかな雰囲気が漂っています。
黄金色に輝く紫式部像、釣殿は必見です。
平安時代の貴族の住居を模した公園
◆神殿造 釣殿
紫式部公園の庭園は、平安時代の風情を感じさせる美しい庭園として知られています。
その素晴らしさを具体的に説明しますね。
1. 平安時代の寝殿造り
公園内の庭園は、平安時代の貴族の住まいを模した寝殿造りの建築様式が取り入れられています。
特に釣殿(つりどの)は、池にせり出すように建てられており、水面に映る景色が非常に美しいです。
◆釣殿で書のまねごとができました
2. 四季折々の風景
◆庭園
庭園は四季折々の風景が楽しめるように設計されており、春には桜、夏には新緑、秋には紅葉、冬には雪景色と、訪れるたびに異なる美しさを見せてくれます。
特に紅葉の時期は、多くの観光客が訪れます。
3. 池泉回遊式庭園
◆池泉回遊式庭園
庭園は池泉回遊式庭園となっており、中央の池を巡りながら散策できる設計です。
池には錦鯉が泳ぎ、水面には四季の草花が映り込むため、ゆっくりと歩きながら自然の美しさを楽しむことができます。
4. 自然との調和
◆池泉回遊式庭園
庭園の設計は自然との調和を重視しており、石組みや植栽が巧みに配置されています。石橋や灯籠、苔むした庭石などが配置され、静寂で落ち着いた雰囲気を醸し出しています。
5. 歴史的な意匠
◆池泉回遊式庭園 日野山をのぞむ
庭園内には、平安時代の風情を感じさせる意匠が随所に施されています。
例えば、紫式部が実際に見たであろう風景を模したエリアがあり、当時の生活や文化に思いを馳せることができます。
紫式部公園の見どころのまとめ
紫式部公園の見どころをまとめると、
まずは紫式部像と釣殿をみてみましょう。
庭園の中心には、金色に輝く紫式部像があり、その背後に広がる釣殿と池の景色は圧巻です。
このエリアは庭園のハイライトであり、多くの訪問者が写真を撮影するスポットとなっています。
池の周囲には散策路が設けられており、季節の花々や樹木が美しく整備されています。
散策路を歩きながら、自然の静けさと美しさを堪能できます。
四季の風景として、 春の桜、夏の新緑、秋の紅葉、冬の雪景色と、どの季節に訪れても異なる魅力を楽しめるのがこの庭園の特徴です。
特に、紅葉の季節は庭園全体が鮮やかな色彩に包まれます。
紫式部公園の庭園は、平安時代の風情と自然の美しさが見事に調和した空間です。
四季折々の風景を楽しみながら、歴史的な建築様式や自然との調和を感じることができるこの庭園は、訪れる価値のある場所です。
黄金色の紫式部像はいつどのように建てられたか
◆紫式部公園の紫式部像
紫式部公園の紫式部像は、文化勲章受章者の圓鍔勝三(えんつばかつぞう)によって制作されました。
この像は、1986年に越前市が紫式部の滞在を記念して設置したものです。
大きさと材質: 紫式部像は、高さ約3メートルの金色に輝くブロンズ像です。
像は、紫式部像は、袿(うちき)姿で檜扇(ひおうぎ)を手にしています。
京のほうを向いて立ち、涼しいまなざしで見つめる先は、“越前富士”とも呼ばれる日野山です。
ここから眺める日野山が特に美しいと言われています。
実際にそこに立ってみると、その稜線が緑のふちに彩られとても美しい姿でした。
日野山は標高795メートルの霊峰で、紫式部も越前滞在中に何度も眺めたことでしょう。
紫式部像の左右のレリーフに描かれたのは
◆紫式部像と左右のレリーフ
台にあたる左右のレリーフには、向かって右側のレリーフは武生に向かう紫式部と父・藤原為時の姿で、
紫式部は荷物を担ぐ人たちをねぎらいながら、輿を降りて一休みする木ノ芽峠(きのめとうげ)あたりの情景です。
向かって左側のレリーフは、「紫式部日記絵巻」の有名な場面で、藤原道長と対面する紫式部が描写されています。
若宮(一条天皇中宮彰子が産んだ皇子・敦成親王。のちの後一条天皇)の誕生五十日のお祝いの儀(寛弘5年(1008年)11月1日)に道長に歌を求められ、とっさに歌を詠んだ様子です。
紫ゆかりの館(紫式部公園となり)はどんなところ?
「紫ゆかりの館」という資料館が紫式部公園のとなりにあります。
紫ゆかりの館は、日本を代表する女流作家紫式部が、越前国の国司に任命された父藤原為時と共に過ごした青春時代を記念するために2021年4月23日にオープンした資料館です。
館内では、紫式部の生涯や彼女が生きた平安時代の文化、そして越前・丹南地域の伝統的工芸品について紹介しています。
展示内容は、紫式部の間、和紙人形の展示、越前和紙と伝統工芸です。
紫式部の間
◆紫式部の間
絵巻物風の映像や几帳風のパネルで、紫式部の越前国での生活や彼女の心の模様を紹介しています。
紫式部が実際に過ごした日々を視覚的に楽しむことができます。
和紙人形の展示
◆紫式部(和紙)
入ってすぐに紫式部の間があり、本物そっくりの和紙人形が御簾のかかった部屋に座っています。
衣装は絹と見まがうほどの素晴らしい出来栄えの和紙です。
◆和紙人形で作られた越前下向の様子
また越前和紙で作られた精巧な人形展示があります。
これらの人形は、紫式部とその父藤原為時の下向(げこう)行列を再現しており、平安時代の衣装や生活様式を垣間見ることができます。
◆下向行列の和紙人形の解説
一つひとつが精巧な造りで、じっくり拝見しました。
越前和紙と伝統工芸
◆源氏物語の解説
越前和紙やその他の伝統工芸品の展示もあり、越前地域の文化と技術の歴史に触れることができます。工芸品の実演やワークショップも開催されています。
◆京から越前国府への5日間の旅行程
◆源氏物語の詳細解説 三部
◆紫ゆかりの館 展示物 解説
営業時間と休館日
開館時間: 9:00〜17:00(最終入館は16:30まで)
休館日: 月曜日(月曜日が祝日の場合は翌平日)、年末年始(12月29日から1月3日)
所在地とアクセス・入館料
所在地: 〒915-0847 福井県越前市東千福町21-12
◆アクセス
車の場合: 北陸道「武生IC」から約7km(約15分)
公共交通機関の場合: JR武生駅より市民バス「のろっさ」市街地循環南ルートに乗車し、21番バス停「紫式部公園」で下車(約20分)
料金:入館料は無料です。
紫式部の越前での暮らしはどんなだった?思いをはせる
越前は冬は深い雪に覆われる雪国です。
当然都に比べ田舎ですから、都での生活を懐かしんだこともあったでしょう。
ただ若く好奇心の旺盛な紫式部は、次第に行くこの地の生活を楽しむようになっていきます。
国司である父に同行して各地を回ったり、越前特産品の山海の珍味に舌鼓を打ったりしたことでしょう。
大河ドラマの中ではウニをスプーンで割り美味しそうに食べていましたね。
加賀に滞在していた宋(現在の中国)の人たちが持ち込んだ異文化に触れることもあり刺激を受けたことでしょう。
また越前には多くの商人や職人たちが集まってきており、豊かな工芸文化が花開いていました。
中でも宮中への貢納品だった上質な越前和紙は、紫式部の関心を受け付けたことでしょう。
越前和紙を使い、和歌や物語の制作意欲をかき立てていたのかもしれません。
紫式部と越前和紙
越前和紙の始まりは、飛鳥時代に遡ります。
5世紀後半から6世紀にかけて、中国や朝鮮半島から渡来した技術者たちが日本に紙の製法を伝えました。
これが、越前和紙の起源とされています。
奈良時代には、越前和紙の技術が発展し、正倉院文書や木簡などの重要な文書に使用されました。
この時期、和紙の製造は主に仏教寺院で行われ、写経用の紙として重宝されました。
<川上御前の伝説>
越前和紙の産地である今立地区には、和紙の神様として「川上御前(かわかみごぜん)」を祀る伝説があります。
川上御前は、紙漉きの技術を村人たちに伝え、和紙の製造を広めたとされています。
彼女は現在でも紙漉き職人たちに尊敬され、毎年「川上御前祭」が開催されています 。
平安時代から鎌倉時代にかけて、越前和紙は全国にその名を広めました。
特に、書写や公文書に使用される和紙として高い評価を受け、全国の寺院や貴族の間で広く使われました。
紫式部が筆をはしらせていた紙は、やはり越前和紙であったと思われますね。
越前から京へ戻り作家の道を辿る紫式部
◆大河ドラマ館展示・源氏物語
越前に住んでいた1年半ほどが経った長徳3年(997年)の冬に、紫式部は任期途中の父を残して都に戻ります。
翌年、宣孝との結婚を決意していたからのようです。
帰京後は、宣孝と仲睦まじい夫婦となり一女を設けました。
しかし、わずか3年後に宣孝が突然病にかかり、この世を去ります。
紫式部が源氏物語を書き始めたのはちょうどその頃で、夫と死別した悲しみを、物語を書くことで紛らわせようとしたのではないかと推測されます。
その後、時の権力者の藤原道長に推挙されて、一条天皇の中宮・彰子の女房をつとめます。
そのときに源氏物語という壮大な物語を書き上げたわけです。
越前での期間は短いものの、都を離れて越前で見聞を広げたことは、彼女の想像力創作力を豊かに膨らましたことだったでしょう。
越前の紫式部ゆかりの地はどこ?
大河ドラマ館を見た後は、越前で紫式部のゆかりの地に行ってみるといいですね。
先に紹介した「紫式部公園」「紫ゆかりの館」以外には、このようなところが名所です。
紙祖神の岡太(おかもと)神社・大瀧神社
5世紀半ばの創建と伝えられる岡太神社は、この地に紙すきを伝えた「川上御前」を紙祖として祀っています。
大瀧神社は6世紀末から7世紀前半の創建です。
中世には白山信仰の霊場として栄えていました。
大瀧神社の本殿・拝殿は国の重要文化財に指定されています。
- 所在地:大滝町23‐10
- アクセスはJR 武生駅から和紙の里行きバスで約25分
越前和紙の里
岡太神社、大瀧神社のほど近くに、越前和紙の全てがわかる施設があります。
越前町の歴史を学べる「紙の文化博物館」、紙すき体験ができる「パピルス館」、職人の紙すきを見学できる「卯生の工芸館」などがあります。
- 所在地:新在家町8‐44
- アクセス:JR 武生駅から和紙の里行きバスで約25分
- 定休日:火曜日と年末年始
越前箪笥会館
金具に打刃物、漆塗り、越前漆器など越前の伝統技術が融合した和箪笥の開館です。
非常に古い歴史があり、法隆寺の国宝「橘夫人厨子(たちばなふじんずし)」の台座にも越前と墨書きされています。
2013年に伝統的工芸品に指定されました。
- 所在地:元町1-19
- アクセス:JR 武生駅から徒歩約10分
- お休み:水木曜日と年末年始
大河ドラマ館 越前武生/しきぶきぶんミュージアム/期間時間料金/体験クチコミ・まとめ
福井県越前市の「光る君へ」大河ドラマ館は、紫式部と『源氏物語』の世界を深く楽しめるだけでなく、平安時代の文化や生活をリアルに体感できる場所です。
豪華な展示やインタラクティブな体験、迫力ある4Kシアターなど、見どころ満載です。
歴史ファンやドラマファンはもちろん、家族連れやカップルにもおすすめです。
次の週末は、ぜひ「光る君へ」大河ドラマ館を訪れてみてください。新たな発見と感動が待っていますよ。
◆滋賀県びわ湖大津市の大河ドラマ館を訪問しました
◆京都府宇治市の大河ドラマ館を訪問しました
※2024年6月7日訪問
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